乙女ゲーがやりてぇ

乙女ゲーがやりてぇ。

いきなり高校生になってツンデレの義理の弟に朝起こされてぇ。

「姉貴、いい歳なんだから一人で起きれるようになれよ」とか言われてぇ。

嫌々起こしてやってんだからな！みたいなスタンスだけど実は義理の弟は両親が再婚した当初から私のことを好きなので本当は全然嫌がってないっていうことは知ってんだよ。あと高校生は全然いい歳じゃねーからな？！全然わけーから！！10代の意味ない「自分もう年寄りなんで（笑）」みたいな全然笑えねーネタ今すぐやめろ！！！！！

話がそれた。

義理の弟の嫌味もなんとそので寝起きから聖母の心を忘れない私は「いつも起こしてくれてありがとう」とか言っちゃう。そんでそれに照れた義理の弟に「うっせー！ ブス！」とか言われてぇ。

高校生の私は全然すっぴんでも外に出れちゃうので制服に着替えて髪の毛を梳かすだけで身支度が済む。

リビングに行くとサラダとトーストとスクランブルエッグとウインナーがワンプレートに盛りつけられているのである。

義理の弟にジャム取ってって言うと意外と義理の弟は文句言わずにジャム取ってくれる。むしろ「何味がいいの？」とか気遣い見せてくる。

そんな朝を過ごしてぇ。

登校中に同じクラスの気だるいイケメンの同級生と出会してぇ。

「おはよう！」って言うと「おぉ……」ってバリバリ寝起きの低いやる気のない反応返されてぇ。

ダークグレーのマフラーに顔の下半分隠してめっちゃ眠そうな雰囲気醸し出してるイケメンの横にしれっと並びてぇ。

「朝から会うの珍しいね？」といつも遅刻ギリギリに教室に入ってくる同級生に話しかけるとあくび混じりに「今日は早く起きれたんだよね」って言われてぇ。

で、今日提出の課題やってきたかとか体育の授業がマラソンで嫌だとか色々話題提供していると急に同級生に「朝から元気だね」って微笑まれてぇ。

寝起きの状態でペチャクチャ喋られるなんて私は絶対嫌だけど、気だるげイケメンは嫌な顔一つしないから多分こいつも私のことが好きだと思う。

昼になってお弁当忘れたことに気づきてぇ。LINE見たら義理の弟から「姉貴弁当忘れてる」って朝にメッセきてて「今気づいた！」って返したら「おせぇ！バカ！」って怒られてぇ。

購買までのショートカットに中庭通ったら花に水やりしてる若い用務員さんと目が合いてぇ。

「こんにちは」って言うと優しい笑顔で「こんにちは」って言われて、思わず近寄って今にも開きそうな蕾に「もうすぐ咲きそうですね」と話しかけてぇ。

「そうですね。多分あと何日かしたら咲くかな？ もしかしたら明日にも咲いてるかもしれないですね」と愛情たっぷりの眼差しを花壇に向ける用務員さんの横顔を見つめてぇ。

何となく中性的で優しそうな見た目の用務員さんだけど、軍手についた土とか袖をまくったつなぎとかところどころに男を感じてドキッとしてぇ。

そんな私に気づかずに「良かったらまた気が向いたときにでも見にきてください」って社交辞令のような誘いを受けてぇ。

多分この用務員さん紅茶淹れるのめっちゃ上手だと思う。

寄り道のせいで菓子パンしか買えず、落ち込みながら自販機で飲み物買ってるとこを後ろから去年同じ委員会だった陽キャ代表みたいな先輩に声かけられてぇ。

「なんか久々じゃね？」って笑いかけられてぇ。

腕に抱えた菓子パンを見て「おやつかよ？！」って爆笑されてぇ。

ヒーヒー笑う先輩に恥ずかしくなってむくれながら「ちがっ……！ 菓子パンしかなかったんです！」って反論すると目尻に溜まった涙を親指で拭いながら「あ、そなの？」って言われてぇ。

「ふぅーん」って言いながら私の腕の中から菓子パン一つ取る先輩に「ちょっと！」って言いかけた瞬間に惣菜パン一つ渡されてぇ。

「俺、メロンパン好きー」とか言いながら去っていく先輩の優しさに浸りてぇ。

放課後、バイト先に行くと丁度休憩中の優等生風なメガネをかけたクールな顔立ちの大学生と出勤時の挨拶を交わしてぇ。

「そういやお前この前中間だったんだろ？ どうだったわけ」って聞かれてぇ。

「なんとか赤点はのがれました！」って元気よく答えたら「は？ そんなレベル？ お前勉強見てやっただろうが！」って怒られてぇ。

接客中面倒くさそうな若者に絡まれてるところ「お客様、どうされましたか？」って助けられてぇ。

対応を代わってくれた大学生に、ここは大丈夫って意味でシッシッてされてぇ。

「さっきはありがとうございました！」って言ったら「別に大丈夫」って素っ気なく言われてぇ。

あがり時間かぶった大学生に「遅いから送るわ」って車で送られてぇ。

「コンビニ寄っていい？」って言われて頷きてぇ。高校生の私は毎日買う紙パックのジュースと学校で友達と食べるお菓子のせいで財布の中が裕福なわけじゃないので特に買うものもないのに無駄にデザートコーナーを見るばかり。

購入品を持った大学生が近くに来たので「これ美味しそうじゃないですか？ 新商品らしいですよ」と言いたい。大学生は「ほんとだ」って言ってそのデザートを手にしてそのままレジに行く姿を見てぇ。

車に戻って買った飲み物をドリンクホルダーに置いた大学生にコンビニのレジ袋渡されてぇ。

勿論中には例のデザートが入ってて戸惑っていると「テストお疲れさん。次はもっといい点取れよ」って微笑まれてぇ。

あ〜〜〜〜〜乙女ゲーがやりてぇ〜〜〜〜〜〜。